スワップポイントについて、簡単におさらいしましょう。
日本で銀行にお金を預ける場合、毎年金利に応じた金額を受け取ることができますが、スワップポイントは毎日発生するのが特徴です。
FX(外国為替証拠金取引)では、ドル円(USD/JPY)、ユーロ円(EUR/JPY)、ユーロドル(EUR/USD)といったように、必ず2国間の通貨で取引が行われます。国の通貨にはそれぞれ異なった金利が設定されており、そこに金利差の概念が生じてくるのです。
例えば、日本円を資金として米ドルを調達する「ドル円買い(ロング)」では、日本円を元手にして米ドルを保有するポジションを取ります。この場合、保有しているのは米ドルであり、交換しているのは日本円であるので、
米ドルの金利 - 日本円の金利 = 受け取ることのできる金利差(通貨ペアの金利差)
となります。
仮に、米ドルの金利が2.01%、日本円の金利が0.01%であったならば、金利差の2.00%に相当する金額を受け取ることができます。
スワップポイントは毎日決済されるものなので、保有ポジションの年利金利差に相当する金額から、一年の365日で割った金額を毎日受け取ることができます。
日本円は、日銀によって長い期間に渡ってゼロ金利政策が採られており、円を資金にして高金利な外国の通貨を保有する円キャリートレードというものが過去に流行りました。
※私がFXを始めたのが2008年頃ですが、この頃は円キャリートレードの過渡期であり、2008年のリーマンショックを境に、各国が金融緩和のための金利引き下げを迫られるような運命を辿りました。
これは金利というものの本質的な仕組みを読み解けば分かります。
金利が高い理由は、その通貨に信頼性・人気がないから金利を高く設定して通貨価値を高め、皆に保有してもらえるような対策を取っているということに結びつきます。(※特にインフレ・物価高に悩まされている国)
信頼性・人気の高い通貨 | ⇒ わざわざ金利を高く設定しなくても、買い手が現れる |
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信頼性・人気の低い通貨 | ⇒ 金利を高く設定しないと、買い手が現れない |
その傾向があるということですが、例外もあります。
例えば豪ドル(オーストラリアドル)は、ある程度信頼性も高く、好景気時には金利も高金利に推移します。米ドルもまた、世界中の多くの国々で貿易などの決済通貨として高い信頼性を有しており、好景気時には金利も高金利に推移します。
個人的に、金利8%を超える国の通貨は、信用が極端に低いと考えています。(インフレ抑制)
それだけ国内のインフレ(物価上昇)、通貨価値の低さに慢性的に悩まされているからこそ、通貨価値の上昇・維持のための高金利政策を取らざるを得なくなっているからです。
トルコ経済はその好例です。
中南米も比較的通貨が高金利に推移しがちです。アルゼンチンは2023年に、政策金利を97%に引き上げています。(ハイパーインフレ秒読み?)
金利差を狙えば、毎日確実に利益を上げられるスワップポイントは魅力的な一面もあります。ですが、為替取引で最も重要なのはその通貨ペアのトレンドです。
相場で利益を上げる方法は、大きく2種類あります。
相場でより重要となるのは、「値動きの上下で利益を上げる(キャピタルゲイン)」の方です。スワップポイントの甘い蜜に誘われて、肝心の値動きで大損失を出しては元も子もありません。
スワップポイントで利益を上げる基本戦略は、
底値~低水準域で長期保有すること。(本当のチャンスを待つのであれば、数年~十数年に1度)
シンプルですが、この方法が最も「負けにくい」方法です。
ただしチャンスは数年~十数年に1度しか来ないので、拾えたらラッキー程度にしか考えず、普段はあまり気に掛けずに、他の通貨ペアを触っていた方が良いと思います。拾えた場合は、レバレッジを1倍にして10年単位の超長期保有を見越すことになります。(3倍以上は怖いかな)
政策金利の地合いが良かったり、米ドルや豪ドル(オーストラリアドル)であれば、もし底値付近に来た際には拾ってみたいとは思っています。トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨は魅力を感じる面もありますが、経済状況が不透明なのであまり好んで保有したいとは思いません。
まぁ現実問題として底値付近で拾うのは至難の業ですね(笑)。これは人気株にも言えることです。
FX歴 | 15年(2008年~) |
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年利 | 8~15%(破産確率を考慮) |