リーマンショックが起きた2008年頃、ポンド円の買い(ロング)ポジションを持ってしまって数日にして2,000万円を失ってしまった主婦の話を耳にしたことがあります。この方はFX初心者で、FXの怖さも、レバレッジ管理の大切さも、強靭な投資メンタルも備わっていなかった文字通りのド素人トレーダーでした。
批判を言えば色々書けてしまいますが、この女性がFXで大損してしまった理由には、以下の点が挙げられます。
投資の行動心理学・メンタルコントロールの観点でみると、「3.」はまさに投資の行動心理学に該当しますね。
人間は誰しも、お金を損したくないと心で強く願っています。
FXや株は、損失確定ボタンを押さない限りは「含み損」という形でポジションが残ります。この「含み損」という形はまだ相場を降りていない状態であるため、文字通り損失が確定している状態ではありません。そのため、中々自分の意志では損失確定ボタンを押せないという人が多く居ます。(おそらくほとんどの人間はそうであると思います)
大きな含み損を抱えている状態でも、「まだ損失確定ボタンを押してはいないのだから死んではいない」という心理状態であるため、どこか他人事であったり、正常化バイアスが働いて一種の思考停止状態に陥ったりします。
これはプロスペクト理論における、利益は早々に確定したい衝動に駆られ、損失はいつまでも持ち続けてしまうという人間心理にも共通している点ですね。
こういった損失に対する一種のマヒ状態・思考停止状態は、相場の世界では命取りになります。そして、これらの心理状態の根源にあるのが「絶対に損したくない」という気持ちです。
感情優先のトレードをしていては、いつまで経っても勝てるようにはなりません。
色んなFX情報サイトで口が酸っぱくなるほど言っている言葉だと思いますが、①適正なレバレッジ管理を行い、②損切りは徹底させましょう。
先述の主婦トレーダーの件は、そもそも適正なレバレッジ管理を知らずにポジションを持ってしまっていました。エントリーした時点で既に、非常に危険な状態に晒されていたといえます。そのために、ちょっとでもマイナスに振れただけで大きな損失が発生してしまい、損切りするにも損切りできない心理状態に陥ってしまっていました。
こんな思想や悪い成功体験をしてしまっている人は危険です。今回たまたま運良く助かったとしても、相場の世界に今後も足を踏み入れていく以上、いつかは大損失を被ってしまいます。(コツコツドカン)
よくサッカー観戦をしていると、「おいシュート打てよ下手くそ」「素人の俺でも決められたわ」なんてヤジを聞くことがあります。
これはプレッシャーも何もない安全な場所に居る傍観者が、言いたいことを口に出しているだけなので、言うこと自体は非常に簡単です。ところがこれがもの凄くプレッシャーの掛かっている状態で、実際に自分がプレーしている状況下におかれると、途端に達成難易度が激増します。
口で言うのは簡単ですが、それを実際に行動できるかとはまた別の話で、そこには天地の差があります。
相場の世界も同じで、自分が実際にポジションを取る前には「絶対に損切りを徹底するぞ」と心構えていても、いざエントリーして損失を抱えてしまったら、なかなか事前に思っていた心構えを達成するのは難しくなります。
それが大金になればなるほど、難易度が増します。(心の度量・金銭的キャパ)
これは人間の持つ行動心理に基づくものなので、なかなか矯正させていくことは難しいです。とはいっても、相場経験を積む中でこういった心理状態を矯正していかなければ、おそらく相場の世界に今後も生き残り続けることは難しいと思います。
FX歴 | 16年(2008年~) |
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年利 | 8~15%(破産確率を考慮) |