チャートにはローソク足、平均足、ラインチャート、カギ足など様々なものが存在しますが、普段私たちが目にする機会が一番多いチャートがローソク足チャートになると思います。ローソク足は日本で誕生したとされていますが、その高い利便性から今では世界中のトレーダーがローソク足を利用しています。
ローソク足チャート。色で直感的にトレンドが分かること、ローソク足1本に多くの情報が集約されているなど利便性が高い。
ローソク足の売買サインに関しては、株式相場のそれと為替相場のそれでは性質が若干異なります。株式相場は東京株式市場であれば日本時間の午前9:00に始まり午後15:00に終わるという時間的な決まりがあります。ところが為替市場には特定の時間といった概念が存在せず、世界中の株式マーケットと連動して24時間開いています。為替相場には時差が存在し、ローソク足チャートを世界標準時にするのか、日本標準時にするのか、アメリカ東部標準時にするのかによって終値が変わってきます(1時間足より大きな足において)。時差によって終値が変わるということは、ローソク足1本1本の視覚的イメージも異なってきてしまうということです。
時系列チャートであるローソク足は、時間変化に重点が置かれています。マーケット時間が決まっている株式相場で一般的に言われているローソク足の売買サインは、そのまま為替相場に適用したとしても株式相場で使用するほどの期待効果を得られない可能性が大きいといえます。
これ以降に述べる「売買サイン」「転換サイン」といったものは、株式相場で一般にいわれているものになります。そのまま為替相場に適用するには十分に検証をする必要があります。
同事線(十字線)は、始値と終値の差がほとんどなく「十字」のような形をしています。同事線の出現は、売り買いが拮抗しているときに見られます。売り勢力と買い勢力が殴り合っている状態なので、この同事線が高値または安値に出現した場合には、トレンド転換の兆しになることがあります。
同事線(ポンドドルの日足)。トレンド転換の折り返しタイミングで出現している同事線をピックアップしていますが、それ以外の場所でもいくつか見受けられます。
同事線(ポンドドルの1時間足)。1時間足レベルだと、トレンド転換までの時間軸間隔が十分でないため、転換サインとしての同事線を探すのは難しい印象を受けました。
たぐり線やトンカチは、高値・安値の髭(ヒゲ)の一方がない状態の足です。こういった状態(坊主)は、①高値と終値が同じである場合(高値引け)、②安値と終値が同じである場合(安値引け)、③高値と始値が同じである場合、④安値と始値が同じである場合に出現します。たぐり線やトンカチは、実体に対してヒゲの部分が長いのが特徴です。たぐり線やトンカチも、トレンド転換の兆しとされます。一般には以下のようにいわれています。
たぐり線(ドル円の日足)。直後の足が買い転換しているものについてピックアップしていますが、それ以外の場所でもいくつか見受けられます。
トンカチ(ユーロドルの日足)。直後の足が売り転換しているものについてピックアップしていますが、それ以外の場所でもいくつか見受けられます。
う~ん・・・、このほか週足や1時間足などいくつかの時間足で検証してみましたが、あんまり転換サインとして信じて乗っかってもいいというような印象は受けませんでした。株式相場だとまた印象が違うんだろうか。
はじめに述べたように、時差の概念が存在する為替相場においは、終値によってローソク足1本1本の視覚的イメージが異なってきてしまいます。そのため、一般に株式相場でいわれているローソク足の形を売買サインや転換サインと見る方法は、その効力が株式相場ほど期待はできないと思われます。かといって全く無視しても良いとは言い切れず、ローソク足の形と為替相場の関連性に着目して毎日ちょっとしたアンテナを張っているだけでも、何かしらの新しい法則を見つけるきっかけや材料になる可能性も否定はできません。
ちなみに私の場合はローソク足1本1本の形には注目せず、ローソク足の集合体が形成する全体的なチャート形の方を重要視しています。ローソク足1本1本の形に関しては、「良いです、悪いです」と言えるほど十分な検証が足りていないので「中立」とさせていただきます。(否定・懐疑的立場に近い)
FX歴 | 16年(2008年~) |
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年利 | 8~15%(破産確率を考慮) |